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先輩眼科医の体験記

イメージ 渡邊交世
渡邊 交世 (1998年 杏林大学卒、1998年 入局)

私はここ杏林大学医学部で6年間学びました。何科へ進むかを決めるに当たっては、家は普通のサラリーマン家庭でしたので自由に選べましたが、細かい手術と謎の多い膠原病に興味があったので内科と最後まで迷いに迷い、研修してみて内科は自分には向いていないと感じ最終的に眼科を選びました。

入局して基本的な診療・検査・処置を身につけ、半年後には緊急手術以外はほぼ一人で当直をこなせるようになりました。2年間には通常の白内障に始まり、緑内障、斜視、網膜疾患、原田病、眼内炎、視神経炎などの重症例を含む様々な疾患を担当しました。3年目に関連病院へ出張し、市中病院の医師生活を送りましたが、大学とは全く違い網膜剥離は年に2-3例しかなく、多くは結膜炎や定期健診の軽症患者さんでした。生活的には楽でしたが、まだ経験を積むべき時期であり、大学でも週1回初診外来を担当し、知識をアップデートしてモチベーションを保つようにしていました。

3年後大学へ戻り専門医試験に合格後、眼科の中の専門を決める段階になり、手術とぶどう膜炎に興味があったので、水晶体班と眼炎症班に所属して勉強することになりました。ぶどう膜炎は膠原病との関連が深いのでとても面白く、結果的に眼科を選んだ際の目的にあった選択でした。以降、学会発表や論文を重ね学位を取得し、今は講師をさせていただいていますが、かつて学んだ教室の教壇に立ち学生さん達を見渡した際には、自身が学生であった姿を重ね、大変感慨深いものがありました。

また、女性であることをハンディに思ったことはありませんでしたが、結婚してみると家庭との両立はなかなか大変で、女性にとって結婚・出産のライフイベントは仕事との関わりに影響することは否めません。やはり優先順位がついてしまいますが、周りの女性医師をみると、独身でバリバリと頑張っている人から、子育てしながらできる範囲で続けている人まで幅広くいますので、女性にとって人生の変化に合わせた働き方ができる科の一つではないかと思います。

『眼科は眼だけじゃないか』と思われがちですが、内科や外科も専門・細分化されている昨今では他の科も同様でしょう。眼という組織は皆さんが思うよりずっとずっと奥深く、内科や頭蓋内など全身との関連も多く、全てを把握するには膨大な知識が必要で、学びに尽きることがありません。杏林アイセンターでは眼科の基本的な知識を備えかつ専門を追及する眼のスペシャリストを理想としています。各専門分野がそろっているが故に忙しい面はありますが、それだけ多くの疾患を確かな知識の元にバランスよく経験できるという環境であると言えます。施設によっては経験できない症例も多々あることを知り、眼科医としての最初の2年間に学ぶべき多くの症例を経験できたことは大きかったと思いますし、今でも研修医の時の記憶は自身のベースとなっています。知識と経験が医師としても人としても自分を成長させてくれるのではないでしょうか。

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