基礎研究のレポート

基礎研究部:田中 伸茂、慶野 博、他

杏林アイセンター設立10周年です。その間には多くの研究成果がここから世界に発信されてきました。もちろん、それ以前にも幾多の同門会員の先生方が画期的な基礎的な研究をされてきたと確信しますが、この10年での研究に焦点をあてたいと思います。樋田先生は、同門会誌3号上で大学の3本柱は臨床・教育・研究であるが、ここでいう研究とは臨床科である眼科にとっては臨床研究と考えるべきと述べておられます。しかし、臨床研究でも基礎医学的な研究手法が必要になることもあり、その際には基礎医学者とタッグを組み研究を遂行するという方針を立てております。この方針に従い、森村佳弘先生は岡田先生グループの一員として経瞳孔的温熱療法後のウサギ眼の組織変化を検討し医学博士を取得しました。また、山口靖子先生はラット虹彩および毛様体におけるアクアポリンの発現様式を、平岡智之先生はイモリ網膜再生過程での細胞接着分子群の発現様式をそれぞれ臨床検査医学の渡邊先生、東京歯科大の篠崎先生御指導のもと検討し、現在学位審査申請中です。両学位論文には平形先生のご尽力は不可欠でした。高間直彦、渡邊敏樹両先生は岡崎生理学研究所と米国への基礎研究留学経験をお持ちの永本先生の御指導のもと水晶体上皮の細胞増殖および分化転換に関する研究を行い多くの研究成果を残されました。小田仁先生は樋田先生の直接の御指導のもとニワトリを用いた近視眼の研究を遂行しました。その他、忍足和浩・河原澄枝・小島絵里の各先生も基礎的な実験に取り組みました。もちろんスタッフ各位は学位指導のみならず各自の研究テーマを持ち盛んにそして継続的に成果を発表しております。さて、現在の研究室は、慶野先生が実験的ぶどう膜炎の抑制機序の解析を田中が遺伝子操作をしたマウスの網膜疾患の評価をそれぞれしております。研究を継続するには研究費が必要ですが今年度は幸い外部資金を獲得し、比較的恵まれた状況で研究できます。多くの研究室の備品はOBの先生方よりの寄付およびスタッフの先生が過去に獲得した研究費で購入したものです。ここに深謝いたします。

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