障害者スポーツ指導員資格を受講して(H15年7月)
橋本利之
私は、小さい時からスポーツが好きで、自分でプレーをしたり、試合を見に行ったり又は、有名選手の話を聞いたり、監督としてチームを指導したりいろいろと体験をして来ましたが、今回の講講は、スポーツに対する考え方をより一層大きく膨らましてくれた講義でした。
この受講を受けての感想の前に、私のスポーツ歴を紹介します。
- プレイヤーとして
- 小学生・・・野球、サッカー
- 中学生・・・野球(東京都大会出場)
- 高校生・・・ラグビー(全国大会3年連続出場、優勝1回、3位1回)
- 大学生・・・体育会ラグビー部(関東大学リーグ戦1部)
- 社会人・・・ラグビー(関東社会人リーグ1部)2年間プレーをしたが、ケガの為、断念
- 指導者として
- 高校のラグビー部を監督として2年間勤める。
- 大学の体育会ラグビー部(関東大学リーグ戦1部)をコーチとして4年間勤める。
- 社会人のラグビー部(関東社会人リーグ1部)を監督として12年間勤める。
- 現在は小平ラグビースクールの校長として子供やコーチに指導をしています。
以上、私のスポーツ歴ですが、ほとんどがラグビー一色で生活の中心でした。そんな私が、障害者スポーツ指導員資格を取得しようと思ったのは、私自身が視覚障害者であったこと、そして田中先生(ロービジョン)から熱心なアドバイスを戴いたことがきっかけでした。
今回の講習は、4日間に渡りました。毎日午前9時から午後5時までで、実技と講習が含まれました。受講者は、男女合わせて70名、年齢は20~50歳ぐらい、ほとんどの方がスポーツに関係するお仕事やボランティアをされている方が多かったです。
以下は、講習内容の説明です。
一日目
午前中は、リハビリテーション概論の講義で埼玉医科大学総合医療センターの助教授の先生が講師として講義をされました。私は、リハビリというのは学生の時にケガで病院のリハビリを受けたことだけですが、今回の内容で、リハビリについて様々な新しい知識を得ることができました。リハビリの歴史や定義、用語などの説明もありましたし、又、障害の重さや種類の説明もありました。ケガや病気で中途障害になった方、生まれつき脳や体のどこかに障害を持っている方など、障害者の障害の内容を確認した上でそれぞれにあったリハビリを行うそうです。そのようなことが心のリハビリにつながると思いました。
午後は、実技でした。東京都障害者総合スポーツセンターの指導員の方が来てくださり、水泳の指導をうけましたた。実際にプールで障害者の方を水の中に入れたり、プールサイドに上げる場合の注意点などを指導してもらいながら、2人1組で実際に行いました。それを指導員にチェックしてもらいました。またそのほかにも、水の中で障害者の恐怖心を取り除く方法、サポートする時のたつ位置、呼吸しやすい姿勢、それぞれの障害者の泳ぎ方や指導の方法、なども教えていただきました。
私達が指導を受けているとき、隣のコースでは手足の無い方や脳性まひ、脊髄損傷で麻痺のある人が指導員にサポートをして貰っていました。1人で25mを何往復もしている人もいました。水の事故は死亡事故につながると言われますが、こんなふうに、指導員と障害者の気持ちが一体感になり恐怖心や恐怖感など見られず一生懸命泳いでる姿を見ていると、障害者の人が水泳をなんてと思っていたのが恥ずかしく思った実技でした。
次は、体育館で知的障害者のスポーツの実技で国立市障害者センターの指導員が指導してくださいました。最初は知的障害者といっても人によって障害が違うのでスポーツをすること自体が目的だそうです。ただし施設や体力も人によって違うので出来るスポーツが限られてしまうそうです。今回は、ルールを変えたバスケットを体験しました。行ってみて、人によって障害が違うのでそれぞれにルールを決め、勝敗よりゲームの中で楽しさを見つけさせるのかなと感じさせられました。又ここで意図する事は、ゲームを通して団体競技の楽しさを体験させ、積極性や協調性を養わせ、運動機脳を高めることを重視した指導だと感じました。
二日目
二日目は、スポーツ心理学。講師は東京多摩障害者スポーツセンターの指導員が講義されました。ここでは、障害者の人が、なぜスポーツをするのか又、スポーツに対しての目標は何かが大事だといことを習いました。スポーツをする事での効果を得るためには、指導者は、競技を選ぶ時や競技を行っている時の個々人の心理を把握をしなければなりません、私も今後指導をしていく場合、個人のスポーツに対する考え方や経験などいろいろな分野から話をして個人を把握し競技指導をしていくつもりです。
次の講義は、健康作り。講師は東京家政大学管理栄養士の先生に話しをしていただきました。この講義は、障害者の人だけではなく、健常者の人でスポーツを行っている方の食事のとり方や栄養についての話でした。スポーツ選手や運動の内容によって食事の取り方や栄養のバランス、食べ物の種類などが違うようです。食材には何の栄養素が多く含まれているかそして、日常生活で食事に対してどのくらい考えて生活しているかを学びました。
2日間目最後の講義は、安全管理で講師は、実践女子短期大学の先生が話しをしました。この講義ではスポーツの事故に対して実際に起きた事件や現在裁判中の事故の実態を話しをしていただきました。そのなかで一番の事故は、熱中症でした、これからの時期よく聞かれると思いますがスポーツを行っている時が多く、亡くなっている人いるそうで、熱中症の症状や対応の仕方など経験が無いため処置が遅れてしまうのが現状です。私も、脱水状態で病院に運ばれた事がありまして、苦しかったことを覚えています、この様な事故で民事や刑事裁判になるこがあるので、指導をしていく上で苦しいおもいをさせたくないので、十分注意をして行きたいと思います。特に気をつけなければならないのは、症状や状態を伝えられない子供や障害者に対してで、十分に配慮して勉強して行きたいと思いました。
三日目
三日目は、1日中実技でした。最初に、肢体不自由・聴覚障害者スポーツで東京都多摩障害者スポーツセンターの指導員に指導いただきました。体育館での実技ですので何のスポーツを行うのかと思っていたら、隣の学生の2人が肢体不自由な人とはどんな障害なんだろうと、話をしているのが聞こえました。私もそういえばよくわからないと思いました。肢体という言葉は聞いたことがあるけど障害まではわかりませんでした。そんな中で、指導員の、始めに30分ほど肢体不自由について講義をします、の言葉にみなさんうなずいていました。まずは肢体とは・・から始まり代表的な障害とその原因、種類と特徴やそ指導上の注意点など話をしていただきました。
実技では、車いすバスケットを指導して頂きました。最初は車椅子の紹介です。中でも頑丈なものがあり、聞いてみるとそれはラグビーをするときの車椅子だそうでした。練習の時には一番にそのラグビー用の椅子を選びました。
指導については車椅子の乗り方、走り方や止め方また下にあるボールを走りながら拾う方法などのテクニックを教えてもらいました。体育館を全力で回り笛が鳴ったら止まりながら180度や360度回転するという練習もしました。最後に、4チームに別れて試合を行いました。座ったままっでのシュートの難しさを痛感しました。ボールを奪う時に車椅子どうしがぶつかることがあり、集中して真剣に試合に打ち込んでいました。
午後からは、視覚障害の障害者スポーツで東京都多摩障害者スポーツセンターの指導員の方が行いました。私にとってこの実技は、大切な時間なりました。やはりここでは30分程度講義を行い、視覚障害の種類や視力・視野などについての話をされ、またどのようなスポーツがあるのかそしてどのようにして指導するのかの話もありました。立つ位置、声のかけ方、誘導の仕方もことこまかに教えていただきました。実際に2人1組で体育館の中を回るわけですが、いろいろな方法での誘導方法を実践しました。始めに一人がアイマスクを掛け、誘導する人は、左右どちらかについいて歩きながら誘導をします。次は同じように歩きながら誘導しますがこんどは後ろから声をかけての誘導でした。最後に20mをアイマスクをつけて走りますが、ゴールに誘導する人が手をたたきながら誘導しました。この場合は、ほとんどの人が恐怖心で左右にそれてだんだんスピードが遅くなってきて何人かの人はその場で止まってしまいました。私は、速くは走れませんが真っ直ぐに行く事が出来ました。しかし、目の前が真っ黒でなにも見えない恐怖心を体験し、光を失った人の精神力や白杖の必要生がわかりました。また、視覚障害者の誘導は神経を集中しなければ指導は出来ないと思いました。
三日目最後の実技はレクリェーション概論で東京都多摩障害者スポーツセンターの指導員に指導していただきました。レクリェーションは、競技スポーツとは方向性がすこし違っていて、教室や行事などで障害者や健常者の人も一緒になって楽しく、和気藹々と遊べるゲームで4種類ほど紹介していただきまして、どれも楽しくゲームに熱中してしまい指導のことを忘れて遊んでしまいました。実技終了後なんとなくほっとした気持ちになってしまいました?
四日目
最終日は、午前と午後の半分が障害者福祉の講義で午前中は宝仙学園短期大学の先生に話しをしていただき、午後は、東京都立北養護学校の先生が話しをされました。
午前中は、社会福祉の一般論や障害社手帳の申請の仕方、各都道府県の行政管轄での社会福祉などビデオやスライド中心でした。
午後は、知的障害者の現状についてを先生のお勤めになっている学校での様子を中心に話をしていただきました。まずは、障害者福祉論についてとか障害者とは、という話題から始まり身体障害者、知的障害者とは、や、障害に応じた教育、障害に応じたスポーツなどの話に広がりました。耳にした事はありますが実際ビデオやスライドを見て、現状の教育、学校での生活又、先生の苦労など、生の話を聞いたことは貴重でした。スポーツとは、すこし違いますが指導をして行く上では基本ですしもっと勉強しなければならないと思いました。
今回最期の講義で障害論を国立療養所村山病院、の院長が医者の立場に立って、障害に対して医学的に話をされました。最初は、障害の種類について障害者の多い人の順に病気、けがや合併症の予防など話をされ中でも内蔵障害については細かく教えていただきました。障害者スポーツの医学的管理という話を最後にされ、スポーツをする事による障害等などを体験談を例に教えてくれました。専門用語も出てきましたが、わかりやすく説明して戴いて勉強になりました、やはり競技をする障害者の指導をする場合、オーバートレーニングや起こりえる合併症に注意して行きたいと思います。
以上が講義の内容です。
最後になりましたが、今回の講義を受けての感想を書きます。指導員の資格を取得することよりも、障害者スポーツ自体があまりにもしられていない現状を痛感しました。現状では、障害者がスポーツを行いたいと思ってもいくつかの至難を乗り越えなければなりません。
私は講習中に行政関係や福祉課に連絡をして障害者の人が行うスポーツ(競技)団体や指導員を紹介してくださいと、聞いてみました。その答えは驚いた声で、「聞いたことが無いな」とか、「体育課に聞いてください」という回答でした。それではと体育課に聞けば、「障害者のことは福祉課に聞いてください」と、答えが返ってきました。
結局私が感じたことは、障害者=スポーツにはならないのかということ。又は障害者がスポーツをしたければ自分で行ってくださいと、言っているという事かなー?
しかし、この研修中たくさんの障害者の人を見て来ました。この施設(障害者スポーツセンタ)の中で、一生懸命スポーツに取り組む姿勢や自分を鍛えて努力する姿を見ていると、ハンディキャップという言葉は必要無いと思わせる傾向が見られました。又指導員も厳しい態度で指導に取り組む姿勢は勉強になりました。私のスポーツに対する考えがより一層膨れ上がり、もっと努力をしてすこしでも障害者スポーツに貢献出来るよう頑張って行きたいと思いました。
以上、今回の私の感想です。
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