ロービジョンに使いやすい病院建築のポイント
- すでに作られた建築物の中で、使いにくい箇所を改善する試みをしました。
- その過程で気付いたところをまとめます。
- 新たな情報がありましたらtanaka@eye-center.org,
nishiwaki@eye-center.orgまで是非ご教示ください。
このページの内容をPDFファイルにまとめました。
床と壁の境を明確に
床に導線を提示
自動ドア
「検査室」「トイレ」などの表示方法の工夫
椅子の視認性
光量を調節できる環境
高コントラストの手すり
階段
危険個所のアピール
- 参考文献
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床と壁の境を明確に
- 床と壁を同系色にまとめることで空間を広くみせる効果があることを聞いたことが
ありますが、ロービジョン者(特に視野が狭窄している人やコントラストの感度が低
い人)は、床と壁の違いをアピールしてもらわないとその区別がつかないことがあり
ます。区別がつかないと、壁に顔面をぶつけたり、進行方向がそれてしまったりする可能性があります。反対に、床と壁の境目がはっきり目立つものであれ
ば、自分のわずかな視野を合わせ、それに沿って歩く、というロービジョン
の移動を助けるサインにもなり得ることを意味します。
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- 対処方法:
- 床と壁の色の明るさを違える。
- 壁の下部にその周辺とのコントラストが高くなる配色で太いライン(幅木)を描く
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床に導線を提示
- 病院内での患者の導線を調べた研究によれば、患者の行動は、「目的地までの移動」
と「部屋の探索」と周辺での「着席」です。その中で、「目的地までの移動」の補助
となるのが床に描かれた導線です。狭い空間であったり、椅子の配列など他のもので
同様のサインとなるものがある場合は不要ですが、大学病院内で調査をしてみる
と、移動距離が長いこともあってか、床の導線を利用するロービジョンの割合が非常に
高いです(ロービジョンシミュレーションをしている医学部学生の8割はこの導線を利用して外来を移動しています)。特にロービジョンになって間もない人々は触覚にうったえたサイン(手す
りや壁を触りながら歩行)より視覚的なものを利用しようとする傾向があるので、こ
のような床にある誘導ラインはその点でも有効といえるかもしれません。
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- 対処方法:
- 「玄関→受け付け」、「待合室→検査室、診察室」の導線を床に描く
- 描く線は、幅よりも床との間のコントラストを高くすることが重要
- 床が明るい色の場合はラインは暗い色で。
- コントラストの高さは、厳密には輝度計で計測して算出。
- 色味として注意がいるのは、黒色は影や穴と見間違えることがある点で、暗い色を採用したい場合は、青や緑系の暗い色を選択した方がよい。
- 誘導ラインが、かえって煩雑になる場合は、
- 診察室や受付などの目的の場所を目立たせる
- 手すりを壁とのコントラストの高いものにする、などの工夫で対応
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自動ドア
- 透明ガラスの存在をわかりやすくしてぶつからないようにすることと、ドアの開閉箇所がに正しくたてるような誘導表示が必要です。
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- 対処方法:
- 透明ガラスの上にラインなどの模様をいれて存在を目立たせる(よく使われている小さな正方形模様を整列させたマークより、太いラインを連続的に描いた模様の方が遠方から見分けがつきやすい)
- ドアの開閉部を強調した模様を入れる
- ドアの開閉部に向かった誘導ラインを床につける
- 開く扉とそれ以外のガラス部分で模様を変えるのも一つの工夫

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「検査室」「トイレ」などの表示方法の工夫
- 自分の目的とする部屋を確認するときは、その表示が「探しやすい位置に」「視
認性の高い表示方法」でなされている必要があります。表示は必ずしも文字を使用す
る方法ばかりでなく、ドア(全体や縁)に色をつける方法もあります。また文字を使
用する場合でも、見るためばかりでなく、触っても確認できるために「浮き出し文字
(カタカナ)」を提示するという工夫の仕方もあります。
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- 対処方法:
- 各部屋に文字で看板表示をつける場合は、設置位置は大人の目の高さ付近にする(目の高さにする理由は、探しやすいことと、見やすい大きさを見る位置を近づいたり遠のいたりすることで調整できるから)
- (まぶしさの強い人には)背景を暗くして文字を白抜
きに表示すると視認性が高まる
- さらに視力が低いロービジョンを意識すると、入り口のドア全体の色、もしくはド
アの縁の色を目立つものに変える方法もある(ex. New York Light
House)
- 全盲の人のためには、触字用の媒体を提供する方法がある。点字が一般的に使われ
ているが、視覚障害者の中で点字の利用ができる割合は2割以下であるため、最近は
浮きだし文字(ForeFingerM)が開発され注目されている。
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椅子の視認性
- 病院内で必ず行う課題の一つは「空いている椅子を探して座る」ことです。診察室や
検査室に入った後も、できるだけ介助なしで、空いている椅子を探して安全に座って
もらうための配慮が必要です。
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- 対処方法:
- 椅子は、床とのコントラストが高くなる色のものを選ぶ
- 単独で座ってもらう椅子はキャスターが付いていないものが安全
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光量を調節できる環境
- 待合室におくテレビや様々な表示が、窓から差し込む光や天井からの照明器具の影響
で、かえって見えづらくなる可能性があります。周囲からの邪魔な光は、状況に応じ
て遮断できるように配慮したり、テレビなどの設置位置に工夫を加える必要がありま
す。
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- 対処方法:
- 窓にはブラインドやカーテンをつけて、光が遮断できるようにする
- テレビや展示物などは、患者さんが窓を背にした状態で見ることができる配置に設置する
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高コントラストの手すり
- 手すりは本来は、体を支える機能が優先されて考えられますが、ロービジョンの人にとっては、方向を視覚的・触覚的に確認するものとして、また、段差の場所では、段差の様子(始まる部分、終わる部分、斜傾角度の推測)を確認するものとしての働きが期待されています。
ところが、最近の建築物は、手すりの色を壁の色と同化させた方が空間がすっきりと広く感じるという理由で、両者のコントラストを低くする傾向があるようです。そのため、残念ながらロービジョン者には、せっかく設置してある手すりの存在に気付くことができない場合も多いようです。
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- 対処方法:
- 手すりの色を壁の色の明るさと高コントラストになるものにする
- すでに手すりが出来上がっている場合は、高コントラストのテープを貼るなどの工夫の仕方もある
- 手すりを触覚的にたどる人のために、むやみに中断を設けたり、切り傷の原因になるような凹凸は避ける
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階段
- 一般に、階段の昇り降りには、手すりを使う場合が多いので、手すりが必要です。階段に限らず、段差があるところには、高コントラストにしておくと、ロービジョン者でも、段差を検出することができます。一般的には、階段の踏み面と、踏み面の先の部分(段鼻)とのコントラストがついていると、安全に降りやすいという研究もあります。
- また、階段を上がる時に、段と段の間の面(蹴上げ)と、踏み面とのコントラストがついていた方が、段がわかりやすいようです。
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- 対処方法:
- 段鼻と踏み面のコントラストを高くする(下りのときの視認性配慮)
- 踏み面と蹴り上げのコントラストを高くする(昇りのときの視認性配慮)
- 手すりをつける(斜面のはじまりと終わりの位置をあわせる)
- 階が多い場合は、踊り場のところで浮きだし文字で階数を提示するとよい
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危険個所のアピール
- 階段の最終階や、ところどころにある柱など、危険になる可能性は理解できるものの建築上どうしても避けられない箇所があります。その場合は、その危険個所の視認性をたかめて目立たせたり、触覚によるアピールなどをして注意を喚起させる工夫が必要です。さらに万一ぶつかったとしても大事には至らないような防御策をとりいれる、などの対応も有効です。
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- 対処方法:
- 段鼻と踏み面のコントラストを高くする(下りのときの視認性配慮)
- 踏み面と蹴り上げのコントラストを高くする(昇りのときの視認性配慮)
- 手すりをつける(斜面のはじまりと終わりの位置をあわせる)
- 階が多い場合は、踊り場のところで浮きだし文字で階数を提示するとよい
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<参考文献>
- 西脇友紀・田中恵津子・小田浩一・平形明人・樋田哲夫・藤原隆明:ロービジョンからみたバリアフリーの病院建築,
臨眼54(6), 1211-1216, 2000.
- 佐渡 一成:ハード面における視覚障害者への配慮--岩手県立千厩病院--:第7回視覚障害リハビリテーション研究発表大会論文集,
129-132,1998
- Koichi Oda, Naoko Harada, Akihiko Yamamoto: A
psychophysically engineered Japanese font 'ForeFinger-M' suitable
for tactile recognition : Visual Impairment Research,Vol.5
No.1,41-53,2003
他
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本日のアクセス数:昨日は(2002.1.9よりカウント開始)
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